究極のやすらぎ 人と住まいの健康 目指して!

パート(3)

住まいには「空気は命・光は栄養」が必要である

開放的な住まいを確保するためには屋根の断熱が重要です。

 

始めに、「方丈の家改修工事」で施行した「腰葺き屋根」の話です。

試行-【1】

「腰葺き屋根」 

伝統的な「腰葺き屋根」

伝統的な「腰葺き屋根」


試行-【1】

試行-【1】

 屋根の葺き方に「腰葺き屋根」があります。腰葺き(こしぶき)とは、鋼板葺き(主に銅板)と瓦葺きを組み合わせた屋根のことで、日本の建築様式のひとつです。

 具体的には、軒先から軒桁芯までの範囲を銅板などの金属屋根で葺き、軒桁から上部を瓦葺きで仕上げる形状を指します。

 

 この伝統的な施工方法は、数寄屋造りに多くみられ、建物の格式を高める役割を果たします。

日本料理店などでは、高級感を演出するためによく採用されています。

 この伝統的な屋根形式を今回の「方丈の家改修工事」で異種建材を用いて施行した屋根が左の写真(試行-【1】)です。

瓦部分を軽量高耐久鋼板(断熱)段葺きとしています。

 防水の納まりは、異種材部分(主に軒桁上)で段差を大きく設け水仕舞に気を付けました。

 又、その段差分を活用して室内部分上部に断熱材を敷き込みました。 

一般的な住宅では余り使用されていませんが、鋼板葺きの部分は重量が軽くなる為、軒の出を大きくしても屋根下地の負担を減らす利点があります。

 又、軒先のシャープなラインが建物を軽やかに印象付けます。

腰葺きにおいて、瓦の種類としては、軒先部分には一文字軒瓦が使用されます。一文字軒瓦は瓦の下面が真っすぐになっている軒瓦で、水平の鋼板葺きの上に隙間なく載せられます。 

 結果

 ① コストパフォーマンスに優れ

 ② 重量軽減による耐震化増強

 ③ 軒先部分との段差による屋根断熱確保

 

 と、なりました。



住まいへの効用【1】

「ゆらぎ」 ⇨ 「1/f ゆらぎ」 ⇨ やすらぎ


 「ゆらぎ」とは、予測のできない空間的・時間的な変化や動きのことで、揺れ動いて変化する状態をいいます。(予測は規則性があるからできるのです。)

 

 「ゆらぎ」にはいくつかの種類があり、その中の一つに規則的な中に適度にバラツキを持った(秩序と混沌)ものがあり、

「1/fゆらぎ」といいます。

※(この場合の f は frequency:

           振動数、周波数)

 

 「1/fゆらぎ」は生命の本質である!

ともいわれ、非常に普遍的に見られる現象で、いわば物の集団の動き方の根本法則のようなものらしい、ということもわかってきました。

それこそ、原子レベルから大宇宙まで

「1/fゆらぎ」が発見されてきました。

 

 いわば、世の中のすべてのものは ”ゆらいで ” いる。

そして、それは「1/fゆらぎ」を持っていると言っても過言ではない。ということのようです。

 

 人間は自然の中で進化してきた生物です。太陽の光がゆらぎ、風もゆらぎ、気温もゆらぐ環境の中で生活してきました。

長い間こうして環境の中で進化してきましたので、人間も本質的に「1/fゆらぎ」を持っていますし、「1/fゆらぎ」に満ち満ちています。

 わたしたちの身体は「1/fゆらぎ」を好む傾向にあり、外部からの刺激が自分の中にあるゆらぎと同じ「1/fゆらぎ」になると、快感を感じ、心が落ち着き、安らぐの

です。

 


住まいへの効用【2】

「1/f ゆらぎ」 ⇨ 暮らしの中のゆらぎ ⇨ 住まいのやすらぎ

 私たちの環境は、人工的すぎるのではないでしょうか。住宅のデザインを考えてみても、自然界に直線や円はないのですから、もっと自然に近い環境をつくるべきだと思います。

規則正しくそろっているものだけが美しいのではなく、乱れの中にも美しさがあるので、そのような「法則性」を持った「適度な」ゆらぎの中には、もっと多様な美しさがあります。

 

 私たちも「壁は平らなもの」という先入観にとらわれているのかもしれません。

また「柱は真っ直ぐなもの」、照明は「一定の照度を保つべきもの」、なども同様です。しかし、これはコストの面からわかっているけれどできないのかもしれません。

(私もこれまでの経験で工事中に、曲線や丸面等の設計を、直線や角面ではいけないですか、とはよく言われました。)

 

 人間は自然の中で生活しながら、何十億年をかけて進化してきました。自然に近い環境が最も住み心地がよいといえるのではないでしょうか。

 

 太陽が天頂に登るにつれて光の強さも色も変わるし、木漏れ日の強度は、風にゆらぐ木の葉の動きと一緒にゆらいでいます。

自然界には完全な平面とか、変化のない色を持った平面とか、円とか、直線とか、一定不変の明るさというものは存在しません。不自然な状態は、現代建築の人工的な環境の中でのみ存在する環境だと思います。

 

 現在の「非ゆらぎ」的なデザインは、素材の大量生産によるコストダウンからの要求と無縁ではないと思います。

手作りで素材を作れば、おのずから「ゆらぎ」がそこに生まれます。ただ、こうした美しいゆらぎは、現代においては贅沢品になっています。

手作業によってゆらぎを作りだそうとすれば、かなりのコストアップになってしまします。しかし、自然から失った大事なものが何であるか、考えましょう。

 そして、なるべくコストアップにならないように、自然の大事なところを取り戻すことを一緒に探していきたいと思います。

 

 暮らしの中のゆらぎをざっと拾い上げてみてもたくさんあります。

 ・白木の持つ木目模様や肌触り

  (柱や枠、床板、天井板、障子・木製 

   建具)

   障子に張る和紙もよく見るとわずか

   に漉きによる乱れがあります。

 ・畳:い草の太さの違い、人間の編んだ 

   ものの不均一性、畳の目の並びの美

   しさ、心地よい感触など、わずかな

   乱れにゆらぎが生まれています。

 ・瓦屋根:家並みの美しさ、瓦の並べ方

   による乱れ、風雪などによりわずか

   なゆらぎが生まれます。

 ・着物:江戸小紋模様

 等々。

 

※しかし、「1/fゆらぎ」だからといって、そこら中その建材を使用すればよいかというと、そういうものではなく、あくまでもバランスが重要です。

    


住まいへの効用【3】

ゆらぎを取り込む ⇨ 軒下空間、縁側、庭、中庭

 住まいにゆらぎを取り込む方法として、緑を活用しましょう。

 

① 室内に花を活けたり、観葉植物を置く。

 

② 開口部を大きく拡げて庭の緑、又は、

  借景と一体となる。

 

③ 軒下空間で外と内の中間領域を設ける。

 【Blog-2 の「軒下」をご覧ください。】

 

④ 建物内部に中庭を設ける。

 (中庭は建物の奥行が大きくなった時、

  採光・換気の点でも便利です。)

 

 

 使用できる建材と合わせて、ゆらぎを住まいに取り込み、やすらぎを手に入れましょう。 

 

 



参考文献

【※1】上記 ゆらぎ 関連の内容は、下記を参考にしました。

    ①「ゆらぎの発想」 1/fゆらぎの謎にせまる    武者 利光

    ②「ゆらぎの医学」 1/fゆらぎ 健康法  編著者 武者 利光          

                             高倉 公朋

                             池辺 潤



3つの「和」設計ポイント

人と住まいの健康

   こころとからだの健康

       &

     住まいの健康

 

”光と風と ころあいの間”

をモットーに「和」の温もりを届けます。

清貧 シンプルな暮らし

無駄を省き、プランはメリハリをつけて

コンパクトに

 

緑の割合をできるだけ多く確保し、室内外ともに空気(風)の循環を促します。

安全・安心 丈夫な架構と空間

住まいの架構(構造体)はしっかり造る

 

 

生命・財産を守り、安全・安心な暮らしを目指します。



私の建築に関する想いを記載しております。